友人とお昼を食べに久しぶりにサントンへ行きました。昨年Nelson Mandela Squareに出来たアフリカ料理のLekgotlaは初めて行きました。思ったよりも美味しかったけれど、値段はちょっと高いかな・・サントンだから仕方無い?
そしてその帰り道、ある光景を目撃しました。 脇道から大通りに出る道角に停車しているベンツとその運転手と思われる白人男性。ベンツの前に倒れたショッピングカート、真横の歩道に横たわる黒人男性。そして周りに黒人男性&女性が数人立っている。私の勝手な憶測だけれど、恐らくショッピングカートを押していた黒人男性が道を渡ろうとした時に、大通りへ入ろうとしたベンツとぶつかったのでは。 警官が到着し、横たわる男性に何かを話している。男性には外傷はなさそうだったけれど、苦し悶えるように動きながら地面に横たわっている。そして恐らく事故を目撃した黒人男性&女性が警官に何かを伝えている。 ベンツの運転手が周りを見ていなかったのかもしれないし、カートを押していた男性の不注意だったのかもしれない。事故の瞬間を目撃していないので、どちらに非があるのかは断定出来ないけれど、警官と横たわる男性とのやり取りを、苦い顔をして遠目に見ている白人男性(運転手)の姿が印象的だった。 白人男性は横たわる男性に手を差し伸べていなかった。黒人の集団から一歩引いて、まるで彼等の言っている事は自分には関係ないかのように立っていた。もしかするとショックで呆然と立ちすくんでいたのかもしれない。表情だけで人の心を読み取ることは出来ないけれど、地面をのたうちまわりながら警官に向って何かを叫んでいる男性と、同じく警官に向って一斉に話している人達、そしてそこから離れた場所で顔を真っ赤にして腕を組みながら立っている白人男性。ある事故という共通点がありながらも、そこには全く別の世界があった。 もしかすると、黒人男性は本当に怪我をしていないのかもしれない。もしかしたら賠償金狙いかもしれない。けれど例え黒人男性が白人男性を訴え、事故の目撃者がいたとしても、白人男性は弁護士を雇って、結局は白人男性が勝つんじゃないか。アパルトヘイト政権下、このような事故は警官も無視していたと思う。今はこの事故が正当に処理されると言っても、結果はアパルトヘイト政権下と変わらないんじゃないだろうか? 白人男性の表情が頭の中から消えなかった。38年間続いたアパルトヘイト政権が崩壊した現在、彼等の思考を180度変えることを余儀なくされた。今まで自分が当然だと思っていた事が当たり前で無くなった時、どんな思いを抱えて日々過ごしているんだろう。 南アフリカと聞くと即座に「アパルトヘイト、黒人差別」などが語られるけれど、アパルトヘイトの恩恵を受けた白人が現在抱いているジレンマに焦点をあてる事も大事では? このまま南アフリカに居続けると、こういう光景を見ても何も思わなくなる日が来るのでは・・と心配になります。現に今まで不思議に思っていたことが、南アで過ごす時間が増えるにつれて疑問を持たなくなることがあります。確かに南アフリカは金銭的な余裕があれば良い国だと思うかもしれません。メイドさん付きの大きな家に住んで高級車に乗って。けれどルーツが日本にある私には相応しくない物ばかりです。「下」から「上」を経験するのは簡単ですが、一度「上」を経験してしまうと、そこから「下」へ戻るのは大変です。私自身も外国人として様々な恩恵を受けているので、このような奇麗ごとを言える立場では無いのかもしれませんが、表面的な快適さに惑わされて、もっと大事な事を見失ったり、疑問を持たなくなるのは危険だと思います。自分の努力次第かもしれませんが、私にとって南アフリカは長く居てはいけない場所です。
by joburg
| 2006-08-20 07:56
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